実は、初めての万年筆、というのは少々違っていて、正確には、初めて自分で購入する万年筆、と言うのが正しいのだけれど、さておき、
プラチナの#3776 CENTURを選んだ一番の理由は、何軒かの万年筆の専門店でお勧めされたからで、深い意味は無かったりする。
目次
#3776 CENTURYを選んだ理由
私の住む大阪にはメディアにも紹介される万年筆の専門店が幾つかある、こんな時は都会に住んでいる事をありがたく思う。
そして、何軒かの専門店をハシゴしてあちこちで勧められて選んだ最初の一本は、プラチナの#3776 CENTURYだ。フランスのブルゴーニュ地方のワインを模したといという深い赤色に一目惚れしてブルゴーニュに決定!
愛用の手帳、トラベラーズノートとの相性もバッチリだと自画自賛している。
万年筆のように、それなりの金額を出す必要があり、選ぶ基準として趣味趣向も大いに必要な道具は特に、相棒と呼べる自分にとっての逸品に巡りあうにはお金も時間もかかることは間違いないだろう。
近道は無い、とはいえ、まず、こういう時の私の常套手段は、専門店や好き者達に色々と話を聞いてみると言う事にしている
ともすると、専門店というのは店にも入りづらく敷居が高いと決まっているが、専門店として、あらゆる商品に精通し情報を持っているのは当然であろう、的確な商品選びのヒントを与えてもらえる可能性は高い。
恥ずかしがったり気後れする必要はこれっぽちも無い、思っている事を率直に尋ねて見ると良い。
例えば、使った事は無い、金は無い、人気の物が欲しい。思ってる事全部尋ねると良い。万年筆を初めて購入して使うにあたっては知らない事だらけなのは、素人だから当然の話である、
もちろん、こちらも最低限の礼儀をわきまえたうえで、万が一、店員が高飛車な態度であったり、適当な受け答えをするようであれば、直ぐにその店は出て行けば良い。
万年筆という道具が欲しいという目的はあるにせよ、店の人間との相性というものも当然あるだろう、万年筆に限らず、そこでしか購入できないと言うのであれば少々の我慢も必要なことも有るかもしれないが、自分の五感に従って相性が悪いなと思う店には近づか無くても良い。
#3776 CENTURYの特徴や書き味について
一口に#3776と言ってもボディの材質やデザインの種類があり、限定モデルなども存在する。これから長い付き合いになる自分の万年筆の歴史なども知りたいと思うのも当然だ。
知りたいモードになった際の私の行動は、広範囲にアンテナを立てて、色んな情報をあっという間に入手すると言う特技がある。
#3776 CENTURYと言う名前の由来
万年筆界の雄、モンブラン万年筆のペン先にはヨーロッパアルプスの最高峰であるMt.モンブランの標高4810が刻まれているが、国産のプラチナ万年筆は、ご存知、日本一の富士山の標高である3776を付けたのだ。
要は、日本一の万年筆であると言う誇り。
CENTURYと言うのは直訳して一世紀、#3776 CENTURYが33年ぶりにフルモデルチェンジして発売されたのは2011年だが、2019年には、創業100周年を迎えることから、少し先を見据えて付けられたネーミングなんだと言う。
スリップシール機構でインクが乾かない
#3776 CENTURYの機能的な最大の特徴は、スリップシール機構といって、使わずに放置しているとインクがまたたく間に乾いてしまい、書けなくなる、と言う万年筆の一番の弱点を解決して、公式には二年間も放置しても大丈夫だとの事だ。
これがどれだけ画期的な機能なのかは初心者にはいまいちピンと来ないが、古い万年筆ユーザーの評価も高く、彼らが最初の一本として勧める理由だと思う。
14金のペン先(ニブ)
万年筆の書き心地を決める重要なパーツの一つがペン先の材質だと言われる。
通常、このクラスの値段の万年筆だと、スチールのニブが使われる事が多いそうだが、#3776 CENTURYではワンランク上の14金が使われ、滑らかな書き心地を得る事が出来るという訳だ。
実際に、スチールのニブの万年筆と書き比べをさせて貰うとよく判るが、確かにスチール製はカリカリと言うペン先を紙にこすりつける様な書き心地がする。
私はやっぱり、ヌメヌメと書ける14金が良いかなとは思ったが、スチールのペン先を好む方も実際に居るので、どちらが良いか?と言うのは趣味嗜好の話だと言う。
豊富なペン先のサイズ
万年筆の使い心地というか、書き味を決めるのに、先に紹介したペン先の材質に加えて、ペン先のサイズが有る。
#3776 CENTURYでは「超極細、極細、細字、細軟、中字、太字、極太」が用意されていて、私は極細を選んだが、特に私の様に良く判らない場合は、実際に試し書きをさせて貰える店で購入すると良いだろう。
ペン先のサイズは各メーカーに委ねられている様子で、例えば、同じ太字でもA社とB社ではまったく違うという事は普通に有る様だ。
想像出来るかと思うが、プラチナはもちろん、日本の万年筆のメーカーは繊細で、色んなペン先を用意している傾向があり、海外の太字と国産の太字では二サイズ程も違うという、ますます試し書きは必要だと感じる。
今回私が選んだのは細字、小さな手帳に細かく書きたいと言う理由だ。
ペン先のデザイン
ペン先の材質にサイズ、そしてデザインも大切だと言うのは、幾つかのメーカーを見ると判る、万年筆のこだわりが詰まっているのがペン先だと言うことだ。
#3776 CENTURYには、名前の由来で紹介した、日本一の富士山にちなんだ#3776の刻印が見える。
機会があれば、他社の万年筆のペン先をじっくり見て欲しい、各社のこだわりがニブには詰まっていることが見て取れるだろう。
万年筆としてのバランスが良い一本
万年筆の諸先輩方教えて貰った話を纏めると、#3776 CENTURYは、既に亡くなられてしまったが、万年筆のコレクターとしても有名だった作家を中心に、何人もの好き者が吟味を重ねて作り上げた渾身の一本、
機能に材質に価格がバランス良く仕上がっており、愛好家の中の評価も高いとのこと。
二本、三本と購入する方も多いそうだが、これは、万年筆はペン先の太さが幾種類もあるんで、気に入って各種揃えるとそうなるとのこと。
正直、今のところ、ペン先の書き味がどうだ、バランスがどうだ、比較対象が無いので判らないが、開発エピソードが気に入ったし、気になるお値段も一万円でお釣りが来ると現実的だ。
これはまったくの偶然だが、私が長年使い続けているシャープペンもプラチナ、このメーカーとは実に縁がある。
しばらくはこの#3776 CENTURYとじっくりと付き合って、万年筆はこういうものだと体に染み込ませ、万年筆を教えてもらおうと久しぶりに筆記具に熱くなっている次第だ。